地球最後の24時間
 声に気付いた自衛隊員がその瞬間銃口をこちらへ向ける。咄嗟に頭に浮かんだのは自分の事でも亜紀の事でもない、後ろに乗せた侑海を守りたいという思いだった。

「やめろっ! 女の子がいるんだぞ」

 なぜその言葉が口をついたのか自分でもわからない。だが、侑海を庇うように俺は無意識に両手を広げていた。凝視していたその自衛隊員の銃はだらりと下がり、そして一直線にこちらへと向かって駆けてくる。

 とっさに身構えたが、自衛隊員は携えていた銃を放り投げ、そしてヘルメットを投げ捨てると長い髪を風にそよがせた。

 その姿に俺とあさきちは二人とも同じことを思っただろう。

(女っ?!)

 その女は取り乱して叫ぶ。

「侑海なの?!」

 その言葉に驚き、思わず後ろを振り向いた。侑海が声に反応してバイクを飛び降りる。

「ママっ!」

 侑海はヘルメットを脱ぎ捨てながら駆け寄った。

「侑海っ!」

(ええっ?!)
< 185 / 278 >

この作品をシェア

pagetop