地球最後の24時間
 何がどうなっているのやら混乱し、あさきちと顔を見合わせた。

 目の前でしっかりと抱き合う二人の目には滂沱と涙が溢れていた。信じがたい光景だったが、この二人が親子で、奇跡の再会を果たしたことには間違いなさそうだ。

 さっきまで殺戮マシーンのように人を殺していた女が、最も人間らしい仕草を見せている。守るべきものを取り戻したからこそ、人間としての愛を取り戻すことができたのだろうか?

 その喜ばしい再会を眺めながら何となく……そんな感傷に浸った。

「本当にありがとうございました。何てお礼をしたら……」

 涙が落ち着いた頃、彼女は深く礼を述べた。感謝などいらない。侑海が母親と再会でき
ただけで十分だった。

「ねえ、どうしてこんな事に……」

 その無粋なあさきちの質問に少し苛立った。

「わたしは見た通り自衛隊員なんで、出動しなくちゃならなくて……。自分の家族が一番大事だけど、わたしの選んだ道でしょ?」

 ふと若林を看取った看護師とその生き様が重なる。

「でも、救助活動してるときにも侑海のことが頭を離れなくて……そんなとき空自から自分の村で火災が起きてる情報が流れてきたの」

 そりゃ辛いだろう。自衛隊員ったって人間だ。
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