地球最後の24時間
 その時右後方より赤い光が射した。

 振り返ると遥か山の向こうに炎が立ち上っている。それほど大きなものではなさそうだが、それでも近くに落ちていれば命は無かった。

 それを眺めながら、一旦途切れを見せた会話をあさきちが繋げた。

「ジャッジメント(審判)とゴッドハンマー(神の鉄槌)とはよく名付けたもんだね。普通なら発見者の名前を付けるんだろうけど」

 このような事態になることを予測したかのような命名だ。その名前通りの隕石であれば、人類に慈悲の審判がくだることは無いだろう。

 道はほどなく再び曲がりくねったカーブが連なる道へと入り、会話を交わすことは無くなった。

 ここを登りきって峠を越えれば眼下に大分市内を望むことが出来るだろう。以前、亜紀と里帰りをして夜にここを通った際には、市内の灯りが広がって綺麗だったことを覚えている。

(あの頃がなつかしい……)
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