地球最後の24時間
第二十一話
 あさきちのおかげで心残りなくバイクを走らせることが出来る。こういう形で人を助けることも出来るんだなと、改めて奴の人生観に頭が下がった。

 道は大分市内を背に再び峠を越え、漆黒の闇が広がる先ほど通ってきた山あいへと折り返す。

 途中、山を貫くトンネルへと差し掛かった。

 ライトが灯されていない黒い穴はさながら地獄へ通じる門のように見えなくもない。その穴の奥から一閃、眩しい光が放たれ俺は目を細めた。

(ハイビームだろうが)

 珍しく一台の対向車が現れハイビームのまま俺を照らす。

 顔を背けながらトンネルに飛び込むと、排気音は洞壁に反響してさながら猛獣のような唸り声をあげた。そこで初めて対向車のドライバーは気付いたのか、車のライトが下に向けられその車体を確認することが出来た。

(自衛隊……?)

 鈍いカーキ色に塗装された自衛隊のジープとすれ違う。直後、ブレーキ音と激しいクラクションがトンネル内に響き渡った。
< 222 / 278 >

この作品をシェア

pagetop