地球最後の24時間
第二十二話
折り返しとなる高速道路をひた走る。
なだらかでほぼ直線の続く区間は感覚を麻痺させる。変わり映えしない風景とスピードメーターを交互に見て、ようやくほとんど最高速で走っていることが実感できた。
長く続く高架の上から見下ろすと、こんな田舎街にすら炎が立ち上っている。
もうわずかな時間しか残されていないのにもかかわらず、それでも暴虐を続ける人間たちに失望の念がこみ上げた。
(もっと速く!)
そして頭をよぎるのは、その矛先が亜紀に向けられてはいないかという不安――。
今度こそ会えるという確信を前に、さまざまな思いが交錯する。だが、あの場所までたどり着ける保証は何もない。
それでも、今の俺には「たどり着けない」という考えは微塵も浮かんでこなかった。
代わり映えしない景色が、そのとき変化を見せた。
ライトでぼんやりと照らされていたねずみ色のアスファルトが赤く染まった。それの意味することは嫌と言うほど味わってきた。
反射的にブレーキレバーを引き絞り、その影の伸びる反対方向に顔を向けた。
(そんな……ここまで来て)
左手より巨大な火の玉が大気を震わせながら追い抜くように落ちてゆく。それは岡山市を消滅させたアレよりも更に巨大なもののように見えた。
赤く照らしながら地表を粉砕し、土砂を巻き上げながら高度を下げてゆく。立ちすくむ俺の前に真っすぐ伸びた道の先へと。
なだらかでほぼ直線の続く区間は感覚を麻痺させる。変わり映えしない風景とスピードメーターを交互に見て、ようやくほとんど最高速で走っていることが実感できた。
長く続く高架の上から見下ろすと、こんな田舎街にすら炎が立ち上っている。
もうわずかな時間しか残されていないのにもかかわらず、それでも暴虐を続ける人間たちに失望の念がこみ上げた。
(もっと速く!)
そして頭をよぎるのは、その矛先が亜紀に向けられてはいないかという不安――。
今度こそ会えるという確信を前に、さまざまな思いが交錯する。だが、あの場所までたどり着ける保証は何もない。
それでも、今の俺には「たどり着けない」という考えは微塵も浮かんでこなかった。
代わり映えしない景色が、そのとき変化を見せた。
ライトでぼんやりと照らされていたねずみ色のアスファルトが赤く染まった。それの意味することは嫌と言うほど味わってきた。
反射的にブレーキレバーを引き絞り、その影の伸びる反対方向に顔を向けた。
(そんな……ここまで来て)
左手より巨大な火の玉が大気を震わせながら追い抜くように落ちてゆく。それは岡山市を消滅させたアレよりも更に巨大なもののように見えた。
赤く照らしながら地表を粉砕し、土砂を巻き上げながら高度を下げてゆく。立ちすくむ俺の前に真っすぐ伸びた道の先へと。