地球最後の24時間
「申し訳ない。残念ながらもう高度を保てなくなってきた。油圧ポンプをやられたかなあ? 出力が上がらないんだ」

 パイロットはあわただしくスイッチ類を操作しては計器を確認するが、一向に回復する気配はないようだ。

「ちょっと揺れるから掴まってくれ」

 鈍くなってゆくヘリのローター音とともに機体は荒っぽく地面に着地した。

 目の前に広がる変わり果てた街並み。一面に瓦礫が散らばり土煙で遠くを望むことは出来ない。それを窓から眺める俺にひろみが明るく声をかけた。

「大丈夫! こんなこともあろうかと、バイク積んできたんだから」

 えっ? と驚いた表情を向けた。

「なに言ってんの、ひろ姉さん。最初から積んでたでしょうに」 

 操縦室からパイロットが出てきてひろみの言葉を否定して笑う。

「馬鹿だね、だからわざわざデカいの持ってきたんでしょ」 

 どうやら力関係ではひろみが一番強いらしい。

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