地球最後の24時間
 今ならすべてを分かち合える。すべてを受け入れられる。こんなかたちでしか分からなかったのは残念だが、もしこの事態が起きなければ一生を無駄に過ごしていたのかも知れない。

(死んだように生きるか、生き抜いて死ぬか……)

 今にして思えば、亜紀はそういう次元で物事を考えていた気がする――。


 標識も何もない所から川沿いに登る道がある。うっかり見落としてしまいそうなその細い道へと進路を取った。すぐに周りは雑木林に囲まれ、そこで車道は途切れる。

 途切れたその場所には懐かしいかつての愛車が乗り捨ててあった。

(亜紀が来ている!)

 そのことは、ここまで心の片隅に追いやっていた、会えずに終わるかもしれないという不安から解放し、胸のうちに溜まっていた重い吐息をようやく吐き出すことを許してくれた。

(あとは俺だな)

 ここから先に続く道はかなりの悪路だ。果たしてこの体でバイクをコントロール出来るのか?

 いや、それよりも痛みに耐えられるのか?

(やるしかないだろ!)

 想像するだけで鳥肌が立つような痛みが襲うことは、目に見えている。俺は先に歯を食いしばり、敢然とその道へとバイクで乗り入れた。
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