地球最後の24時間
(独りで、ずっと抱えてたんだな)

 いよいよ最後の朝がやって来たようだ。鳥達もいまから起こるべき事態を覚悟しているのだろうか、恐ろしいほどの静寂さに包まれている。

(それなのに俺は……)

 突然視界がぼやけ、上下の感覚がなくなり、足はバランスを失った。

(ここまで……か)

 膝が力を無くし体が前のめりに倒れ込む。確固たる意志を支えにここまでやって来たが、肉体は限界をついに超えたのだった。頭のなかのヒューズが次々と途切れてゆく感覚のなか、俺は自分の最後を知らされる。

(最後はしまらないんだよなあ……)

 体が浮遊感に包まれ、そして意識は深淵へと沈んでゆく、


 そのとき……


ふわりとなびく細い髪が頬を撫で、体は暖かい腕に包まれた。

 そして、その声は静寂のなかで鮮明に聞こえた。


「待ってたよ……マキ」 

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