地球最後の24時間
エピローグ
 日本時間午前六時二分――アメリカ大陸中央部にその隕石は落下した。

 直径五十キロメートルの火の玉は瞬く間に大陸全土を炎の波で覆い尽くし、大西洋と太平洋はその圧倒的な爆炎で蒸発しながらその版図を縮めていった。

 時速数万キロというスピードで地球を呑み込んでゆく炎の海は南アメリカ大陸を焼き払い、水深一万メートルを誇る海溝を露わにし、海底山脈をなぎ払ってハワイ諸島、アフリカ大陸、ヨーロッパ諸国を呑み込んでいった。


 午前六時十二分、岡山市――。

「なるべく低いところへ身を隠して! 早くして下さい!」 

 真樹夫を助けた自衛隊員は、混乱の真っ只中にあって声を枯らして残った市民を誘導していた。簡易的に掘った塹壕に蓋をしただけの避難所など何の役にも立たないと分かってはいる。

 しかし僅かな可能性にでも彼は賭けるしかなかったのだ。
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