地球最後の24時間
 まもなく岡山に差し掛かる。田んぼや畑、まばらに立ち並ぶ木々や家々を横目にしながら、バイクのスピードを上げた。

 この分ならば、予定を大幅に遅れることなく、九州の地を踏めるだろう。

 そんなつかの間の安堵に浸っている時、それは頭上に現れた。

 オレンジ色に光る物体――。

 圧倒的な速度で上空を切り裂き追い抜いてゆく。その上空を走り去る物体の軌跡には黒い煙が残された。大きさも高度も想像すらつかない。しかしそれが何であるかはすぐに分かった。

(隕石!)

 戦慄が体を貫く。そしてその恐怖は覚悟していた自分の想像よりも、はるかに大きかった。

 冗談じゃない、まだまだ時間はあるはずだ。しかしその軌跡を辿ろうとしたそのとき、視界が上下にぶれた。

 落雷が何十発も同時に落ちたかのような凄まじい爆音とともに体がタンクの上に叩きつけられた。メーター周りのガラスが粉々に砕け、周囲の車のガラスも粉砕された。周りの木々はその軌跡に沿って掘られたようにへし折れた。

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