地球最後の24時間
(来るっ!) 

 生死の際を初めて実感した。想像すらつかない衝撃に足を踏ん張り備える。

(もう駄目かもしれない……)

 そんな弱気が頭をよぎるほどの圧倒的な物理エネルギーだ。迫り来る地上を走る波は土を巻き上げ、家々を突き上げて破壊した。

 そしてその速度はあまりにも速く、考える時間さえまともに与えない。

 破壊の波は一瞬にして突き抜けていった。

 踏ん張っていた足は圧倒的な力で突き上げられ、バイクごと宙に浮く。まるでスローモーションのように空中に浮いた俺の周りを粉々に砕けたアスファルトの欠片が取り囲んでいた。

 シートから腰が浮き、それでもステアリングは離さない。このバイクが今の俺にとっての命綱であり最後の希望だ。

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