地球最後の24時間
 ……と、その時体が地面に叩きつけられた。

 背中からの衝撃は瞬時に息を止めさせ、かろうじて繋ぎとめていた意識はそこでついに途切れてしまった。



 静まり返った高速道路上で俺は夢を見ていた。夢の中でも痛みにさいなまれている。

「大丈夫? ねえ……」

 今にも泣きそうな顔で亜紀が覗き込んでいた。遠い記憶が甦る――。

「……!」

 声は出なかった。激しく背中を打ち付けられて息が出来ない。

 モトクロスコースの三連ジャンプ。着地に失敗した俺は激しくコースに叩きつけられた。

 亜紀と付き合いだして二年目の夏。熱中していたモトクロスの練習やレースによく連れて行ったものだ。

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