地球最後の24時間
 転ぶのが当たり前の競技だが、転倒するたびに亜紀は両手を胸の前に組み、祈るような目を向けた。

 大丈夫だというゼスチャーをOKサインで表すが、何しろ三連ジャンプとなれば飛ぶのは距離にして三十メートル、高さは五メートルにも達する。それを失敗したのだから当然大丈夫ではないが、骨折さえしていなければライダーにとっては大丈夫な部類に入る。

「本当に大丈夫?」

「……ん」

 わずかに洩れるような声で返事をするが、その頼りない声ががまた不安にさせたようだ。亜紀の手がヘルメット越しに頬を叩いた。意識を確かめているのだろうか?

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