地球最後の24時間
(大丈夫だって、心配するな)

 その手はなかなか止まらなかった。

「大丈夫? 大丈夫……」

(だから……心配ないって)

「……丈夫か?」

 いい加減しつこいとその手を振り払った――。


「生きてるぞ!」

 それは突然男の声に変わり、目の前の風景は一瞬にして悪夢のただなかへと変わった。迷彩色のヘルメットを被った自衛隊員が視界を覆っている。

「大丈夫か?」

 聴覚が異常を来たしていたのだろうか? 今になってヘリの爆音が耳をつんざいた。男の顔越しに空を仰ぐと、次々とヘリが落下地点に向けて飛んでゆくのが目に入った。

< 35 / 278 >

この作品をシェア

pagetop