地球最後の24時間
 助けに行くつもりはないが、よしんば行ったところで無駄に命を落とすだけだろう。

 俺はつまらない人生を送っていた。いつ死んでも良いと昨日まで思っていたのに、いざ死ぬとなると死にたくない自分がいる。

 生きる目標――今の俺にはそれがある。亜紀に会うという目標が。

(今頃気づいたんだな)

 もっと早く、いや別れる前に気づくべきだったのに。

(俺は愚かだ……)

 女の悲鳴を聞きながらタンクのキャップを開けた。男たちの卑下た笑いを聞きながらノズルを差し込みレバーを引く。

(愚かな上に卑怯ときてる)

 自嘲気味に自分を笑った。こんな自分は亜紀に会う資格があるのだろうか?

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