地球最後の24時間
 野球ファンのため息が聞こえるようで気分が良かった。人の不幸に頬を緩ますのは最低の行いとわかってはいても、それを自分に当てはめて反省するほど人間が出来ているわけじゃない。それにしても……

(なんだこりゃ?)

 復旧した画面には総理大臣が険しい表情でマイクの前に立っていた。

 しばらく官房長官と何やらやりとりをしていたが、やがて資料を手に、カメラに向って神妙な面持ちで言葉を発した。

『たった今、アメリカ政府より連絡が入りました』

 またアメリカかよ。今度はどこの国に攻め込んだんだ? リビアか? 北朝鮮か? キューバか? それとも大規模なテロにでも遭ったのか?

『国民の皆さん、落ち着いて聞いて下さい』

(お前が一番落ち着いてないじゃないかよ?)

 資料を持つ手が小刻みに震えている。滑稽なほど緊張しているのが画面を通してでもわかる。
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