地球最後の24時間
(国道186号線……)

 道脇の標識にはそう書いてあり、そして案内板には(吉和……村?)

(村って!)

 あと2キロほど先に集落があることなっているが、よほどの田舎なのか、周囲には人っ子ひとり、建物さえ見えなかった。

(行くしかないか)

 また走り出す。静寂が支配する中で響く足音は、すでに世界で生き残っているのが自分だけのような気にさせた。

 まもなく集落らしき場所を発見した。近くにインターチェンジの入り口があり、わざわざ一般道に降りたのが無駄だったと知る。それでも集落の存在自体が気持ちをほっとさせた。

 車屋かバイク屋があればベストだ。国道沿いに足早に走りながら右に左にと目を凝らすが、目的のものは見つからない。誰かに聞こうにも人影すら見当たらなかった。

(無い……無い……ここの中心地はどこだ?)

 目の前にはすでに建築物の陰すら見当たらない。今きた道を振り返り記憶を辿るが、どこがメインストリートだったのかさえ分からない。

 「これで終わりかよ?」

 息を切らしながら申し訳程度に建物が点在するわずかな村に向かって毒づいた。
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