地球最後の24時間
 こうなれば仕方無い。個人かを頼るしかないだろう。一番近くの民家に足を運び、玄関で声を張り上げる。

「すいませーん!」

 反応はない。再び声を大きくして叫んだ。

「すいませえーん!」

 田舎らしく大きな構えの家の前で返事を待つ。玄関脇の古いスクーターでも良いので譲って欲しかった。とりあえずこれで街まで出られたならそこで足の速い乗り物を調達出来るだろう。

 けれども、肝心の返事が返って来ない。俺は躊躇無く無断で拝借するという選択肢を選ぶことにした。

 庭先を通り、裏の納戸に立ち入ると、農具や工作機械が入り乱れている。その中から青い工具箱を棚から取り出すと中を物色した。

(あった、これならエンジンをかけられる)

 一本のマイナスドライバーを見つけ、納戸を出ようとした。しかし、その場で足を止めざるを得なかった。

「何してる?」

 老人が入り口に仁王立ちし、猟銃を向けていた。
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