Office Love 〜社長と私〜
触れただけの唇は、直ぐに離れそれと同時に社長の瞳が開いた。
「・・・社長。」
この近距離で目が合っているのと、キスを自分からしたのとで恥ずかしさが込み上げてきた。
恥ずかしさで目を瞑っていたら、ぐいっと腕を引っ張られ、目の前には高い天井と社長。
立場がいつの間にか、逆になってて私が今度は押し倒されているほうに。
「傍にいてやるから。」
「え・・・?」
口には、出していなかったのに社長には伝わったいた。
社長の指がつーっと、私の唇をなぞる。
「笑ったのも、話したのも演技だ。他の女の所なんて行かねぇよ。」
「・・・演技?」
子供に教えるように。
ゆっくりと、言い聞かすように社長は言った。
もしかして、私の胸にあった不安をとるために?
「だから、今は・・・。」
「んっ・・・。」
唇が塞がられて、言葉が出ない。
「これだけに集中しろ。」
そう言ってもう一度キスをする。
キスに味なんかしないと思ってたけど、優しい味がした。
何度も、何度も角度を変えて降ってくるキスは気持ちよくて、私も社長の首に腕を絡め応えた。
目を瞑って、それだけしか考えられなくて頭は全て機能を捨て真っ白だった――。