Office Love 〜社長と私〜
俺が言った後、親父はこれでもかって程驚いた顔をしていた。
「ようやくこの会社に関心を持ってくれたのか!」
驚いた次には、いい歳のジジィが大喜びしている。
・・・いくつだお前。
確かに、この会社には興味も関心も何もかもなかった。
というより興味がでるものが何もなく、『興味がでる何か』を探す為にフランスに行くつもりだった。
だか、今は・・・。
些細な事だが、この会社に・・・正確には、ここの会社の部下に。
興味が出た。
「まぁ・・・そんなところだ。」
「私としては嬉しいが・・・中途半端な気持ちなら止めておきなさい。」
その時の親父の目は、俺の父親の目ではなく社長の目をしていた。
「分かってる。」
俺だって分かってる。
社長の仕事は、生半端な事ではない。
そんな事社長の父親を持てば嫌でも分かる。
だか・・・。
「フランスで失敗したり、他の事に興味を持ったなら諦める。」
もし、今のこのわだかまりより興味がでるものが現れたらそっちに向かって進む。
要は、他に変わりが見つかるぐらいの興味かどうかを俺は確かめたかった。
あの女への自分の気持ちを。
ただのちょっとした興味なら、ここの社長を引き受けてまで確かめる事ではない。
だから、暫く他の事に集中してそれでも引っ掛かるなら・・・。
その時は・・・。
「・・・ぃ・・・啓っ!」
気が付いた時には親父が俺を呼んでいた。