占いの館へようこそ
しのぶが眉をしかめたのを見て、前田は自分の行為を肯定する為の言い訳を始めた。


「これ、ちゃんと自分で買ったんだ。
これは、香たんが捨てたのをこっそり拾った物だし…」


呆れて何も言えなくなったしのぶの事はお構い無しといった感じで、前田は一つ一つの品について熱く語った。


『キモい~!
何なの、こいつ!』


今すぐ逃げ出したい気持ちを押し殺しながら、しのぶは黙って聞いていた。

目の前に並ぶ品物や前田の思い入れは別として、話から香の性格は推測できた。

お洒落に敏感で流行り物好き、おしゃべりで明るいが、少々計算高い。

自分の外見に自信を持っていて、そこをけなされるとキレる。

男には媚びを売るが女には厳しい。

そういった所だろう。


『合うわけないじゃん』


しのぶはそう思った。
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