占いの館へようこそ
ボサボサの髪はいつ手入れをしたのかさえ疑問に思うほど激しくはねていて、分け目にはうっすらとフケが見える。

顔を洗っていないのか、目には目やにがこびりついている。

ヨレヨレのシャツの胸元には有名ブランドのロゴが並んでいたが、その状態では服が気の毒に見えた。


「あ、あの!」


一呼吸おいて、男が口を開いた。


「占いを、お願いします!」


占いの店に来てこの言葉は必要ないんじゃ?と思いながら、静かに微笑んだ。


「お伺いいたしましょう、あなたの悩みを」


その言葉に男はキョトンとした顔をした。


「へ?占いって未来を見てくれるんじゃないんですか?」


しのぶは静かな微笑みを浮かべたまま


「私の占いは、まず占う方のお名前、生年月日、血液型と、抱える悩みを大まかに聞かせていただき、そこから運勢を見て導くのです。

恋愛や人間関係でお悩みの場合は、対象となる人物の生年月日、血液型、大まかな性格等もお聞きしております。」

< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop