空の少女と海の少年
俺達は荷物をまとめると
空を飛んで孤児院に帰った
着いたのは夜中だった
園長にバレないように
こっそり部屋に戻ろうとしたけど
それは甘い考えだったらしい
部屋の前で仁王立ちする園長は
肩を竹刀で叩いていた
ヤバいと思った俺達だが
春だけは笑顔でただいまっ。と言った
その時の園長のツラ。
驚いて竹刀を落として
春が笑った……?って
それはもうビックリしてて
嬉し泣きを始めたんだ
なんだなんだと集まったみんなも
笑顔の春を見てビックリして
その日は夜通しでお祭り騒ぎ
ご近所から苦情がきたのは
言うまでもないこと
その2日間は
俺達の大切な思い出だ
「──ん……?」
俺は朝日に目を覚ました
周りを見渡してここが寮だと理解する
「夢……か。」
懐かしい夢だったな。と思いながら
携帯で時間を確認するとまだ6時
俺はもう一度寝ようと布団を被った
「……海行きてーな。」
ポツリと呟いて
俺はすぐに眠りについた
_