空の少女と海の少年


「………。」

「………。」

「………。」


教室を支配するのは沈黙


あれ……この部屋って
こんな静かだったっけ?


奈央は記憶を辿ってみるが
この教室が静かだった記憶はない

チラリと窓際に座る由紀を見た

分厚い本を読んでいる由紀は
いつも通り静かだ


あれ?じゃあ……


奈央は教卓の前に座る優を見た

こちらもいつも通り
静かに読書をしている


かっ…かっこいい……
じゃなくて、あれ?

いつも通りなら
なんでこんな静かなのさ


髪をくるくると弄りながら
奈央は隣に座る双子を見た


「………。」


見なかったことにしよう

うん。うちも静かに本でも……


「読むかーッ!てゆうか、玲!蘭!ちょっと来い!!」

「「うぐッ!?」」


奈央は静かすぎる教室の空気に
潰されかけている双子の襟を引っ張り
勢い良く教室を出ていった


……元気な人だなあ〜


今まで黙っていた春は
ほくほくとした笑顔で
3人が出ていった扉を見つめた


だが、そんな春を見つめる
海斗達3人の視線は
とても冷ややかなものだった


_
< 106 / 652 >

この作品をシェア

pagetop