空の少女と海の少年
◇ようこそ学園へ
綺麗に手入れされた広い庭園の向こうには
真っ白で大きな建物が立ち並び
その中心には七色の水が噴き出す噴水
まるでひとつの街
4人は目の前に広がる光景に目を疑った
「すげーっ!でけー街!!!」
「きれーいっ!」
目を輝かせて街を見つめる陸と春は
見慣れない建物や花々を見つけては
小さな子供のように騒いでいる
奈々と海斗は2人の騒ぎように
ほぼ同時に溜め息をつくと
この状況を作りだした張本人に
穏やかに(力尽くでも)話を聞こうと
男のいた方へと振り返った
「ちょっとあなた。これは一体どういう」
いない
さっきまでいたはずの
暑苦しいスーツの男がいない
「…いないわね」
「…ああ、いないな」
楽しそうに騒ぐ春と陸とは対象的に
無表情で男のいた場所を見つめる2人は
淡々と言葉を紡いだ
あの男、次に会った時はーー
奈々と海斗は同じ事を思い
不敵な黒い笑みを浮かべた
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