空の少女と海の少年


門を抜けて広がるのは
整備された大きな一本道

白い石畳の道の脇には
色とりどりの草花が生えていて
その花に集まる蝶が舞っていた

一本道を暫く歩いた先には
森の入口からも見えていた
七色の水が噴き出す巨大な噴水

それを中心にして円形に広がる
巨大な広場に辿り着くと
春と陸は勿論、海斗と奈々も
驚きに目をまるくさせた


広場の所々に植えられた桜の木から
舞い散る桃色の花びら

20代から幼稚園児ほどの子供まで
様々な年齢の男女は皆
白を基調とした制服に身を包み

ある者はベンチで読書をし
ある者はスポーツを楽しみ
またある者は能力の練習を

それぞれが楽しそうに過ごす様は
とても賑やかで、不思議な光景だった


「ーーねえあなた達」


広場の入口で立ち尽くす4人に
声をかけた女性は他とは違う
グレーの服に身を包んでいた

声をかけられてハッとすれば
他の生徒達の視線も自分達に集まっていた


「あなた達ね、今日から新しく入った生徒達は。ようこそ学園へ。私はあなた達の案内を任されたここの職員よ。さあ、ついて来てちょうだい」


笑顔でそう言った職員の言葉に
奈々が反論しようと口を開くが
海斗がそれを制した


「人目がある。とりあえず付いていった方がいい」

「…そうね。2人とも、油断しないで」


行きましょう

奈々がその言葉をいう前に
春と陸は奈々の横を通って


「ねえねえお姉さん!あっちの建物はなに!?」

「それよりもあっちの方が気になるだろ!なあ、あれはなんだ!?」


職員の後を小走りで付いていく
単純な2人の後ろ姿に
奈々と海斗は大きな溜め息をついた


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