空の少女と海の少年


『起きてもいい頃だけど……あ、忘れてた。』


ミウはごそごそとポケットから
鈴を出すと海斗に渡した


「……なんだこれ?」

『鈴。』

「………。」


海斗は少し考えた


いや、見れば分かる
俺の質問の仕方が悪いのか?


「……えっと。何に使うんだ?」

『春を起こすのに使うの。耳元で鳴らして。』


『早く。』と
ミウは春の近くに座り込む
海斗も隣に座って
春の耳元で鈴を鳴らした


──チリンッ


小さな音が辺りに響き渡ると
春がゆっくりと目を開けた


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