空の少女と海の少年


「はい、決まりね」


パン、と手を叩いた学園長は
とても嬉しそうに笑ったが
それとは対照的に
海斗達3人の表情は曇っていた

納得がいかない
しかし、それを口には出さない
他の誰でもない春が決めたのだ


「その陣は特別だから直接検査室へ行けるわ。健闘を祈っているわ、楠木春さん」

「えっ…は、はい!」


頑張ります、とはにかんだ春は
海斗達と共に陣の上に立つと
浮かんだ文字の中から検査室を選ぶ

ひらひらと手を振る学園長がいた
学園長室から景色は一転し
真っ白で清潔感のある部屋に着いた

学校の保健室のような部屋だった
窓の外は森林が広がっていて
外から入る風が白いカーテンを揺らす

診察台であろう白いベッドと
その横にある机には数冊の本と
4枚のカルテ


「おお、時間通りじゃな。さすが学園長じゃ」


しわがれた声には優しそうな
柔らかい響きが含まれていた

横の部屋から現れたのは
目と口元が白い毛で覆われた
小柄で小太りのお祖父さんだった

その姿はまるでサンタクロース
白衣を着た、サンタクロース


「よく来た。私はここの教授の三田じゃよ」

「さっサンタさん!?」

「三田じゃ」


ふぉっふぉっふぉ、と笑う
サンタ…三田さんは丸い椅子に
ゆっくりと腰掛けると
カルテと4人を交互に見た





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