空の少女と海の少年


「ふむ…そうかそうか。君たち、"色"を出してくれるかい?」

「はい!」


張り切る春は瞳を澄んだ青に変化させ
海斗達も同じ様に瞳の色を変化させた

4人の瞳の色を見て
三田さんは眉をひそめた


「能力に目覚めたのはいつ頃じゃ」

「私達は13才の時です。春は…」

「うむ、そっちのお嬢さんはまだじゃな」


三田さんは春の目をジッと見つめると
優しそうな柔らかい笑みを浮かべた


「そうかそうか…君たちが…そうか。この目で視る事が出来るとは夢にも思わなかったよ」

「えっと…あの…」

「新堂陸くん」


戸惑うような春の言葉を遮り
三田さんは陸の名を呼ぶと
カルテに何かを記入しながら
言葉を続けていく


「能力は火。精神力、能力値ともにSランクじゃ。隣のお嬢さん…柊奈々さんの能力は大気。同じく精神力、能力値はSランクじゃよ」

「精神力?能力値?なんだそれ?」

「それにSランクって…能力者にはランクがあるの?」


陸と奈々の疑問に一瞬
ペンを走らせる手を止めたが
またすぐにカルテを書き込む


「そうじゃな…まずは能力の大分類から説明しようかの」


現在確認されている能力は
数百種類を超えているが
その能力は大きく分けて
3つの属性に分類されている

1つめは物質系
身体を硬くする"硬化"や
石を変化させる"鉱石"等
物質を変化させる能力系統

2つめは精神系
相手の能力を視る"心眼"や
記憶を操作する"心操"等
相手や自分の精神に働きかける能力系統

ほとんどの能力はこのふたつのうち
どちらかに分類されるのだが
どちらにも分類されない3つめがある


「それが君たち"自然系"じゃ。火や大気や水等の自然の力を操る能力じゃよ。これらの能力は同じ能力者は1人として現れない大変貴重な能力であり、それらの能力者は全員が強大な力を持っているのじゃ」



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