空の少女と海の少年


手前側コートに行くと
ちょうど春の試合が
始まるところだった

相手の選手は体格のいい男で
春のことをニヤニヤと見ていた


S組だけど女じゃねーか
小さいしたいした力はなさそうだな……
この勝負勝ったぜ!


「試合始め!」


審判の笛が鳴り響くと
春はよろしくね。
と可愛らしく微笑んだ


──きゅんっ


男はみるみるうちに
顔が赤くなっていく

ゾクリと
試合を見ていた奈々達に悪寒が走った
チラリと海斗を見ると
不機嫌な表情で男を睨み付けていた
無意識なのか気温が
どんどん下がっていく

春は男が立ち尽くして
いるのを見て審判に質問した


「あの〜…攻撃していいんだよね?」

「あ……はい。」

「じゃあ弱めに……えいっ。」


可愛い掛け声と共に
男の腹部に触れるだけの
パンチをした瞬間
男は吹き飛んだ


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