空の少女と海の少年


ウタが全てを話し終えると
5人はその場に立ち尽くした


「……蓮が空だったなんて。」

「言われてみれば楠木に似てる……かも。」

「まじかよ……。」


奈々達は蓮と春を見比べて
思ったことを口にした

春は呆然と蓮を見つめたまま
固まっていたが突然蓮にしがみついた


「……春の…家族。」

「うん。僕は春ちゃんの家族だよ。」


蓮はよしよしと春を抱き締める

その光景にイライラする海斗を
奈々と陸は必死で止めていた


「僕これからは春ちゃんのことを¨恋人¨じゃなくて¨妹¨として愛すように努力するから。」

「うん。」

「だから……これからもずっとよろしくね。」

「うん。」


2人はしばらくそのまま抱き締めあったが
だんだん冷たくなっていく
海斗を止めていた奈々と陸は
早く離れてくれと本気で思った


しばらくして春は離れると
蓮に向かって最高の笑顔を見せた


「一緒に空として頑張ろうねっ!」

「……あーもう!本当に可愛いーっ!」


蓮は春を抱き締めようとしたが
春の前に一瞬で現れた海斗によって
邪魔されると睨み付け
海斗も負けじと睨み付けた


「家族愛を邪魔しないでくれる?」

「俺の春にベタベタ触りすぎなんだよシスコン。」

「はあ?僕の春ちゃんだから。」

「俺の。」

「僕の。」


始まったバトルを見て
奈々と陸は深い溜め息をついた


「「また始まった……。」」


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