空の少女と海の少年
「──話って何です?」
蓮と思い切り泣いたあと
奈央は優を屋上に呼び出した
ああ、いつもの笑顔だ
雨の中屋上に呼び出しても
文句も言わずにすぐ来てくれた
水晶の結界張ってるから
もう雨には濡れないんだけど
びしょ濡れのうちに
タオルを渡してくれる優は
やっぱり大好き
でもこの気持ちも
もう……終わりにしなきゃ
「うち優が好き。」
「奈央……私は…。」
「知ってる。優が由紀を好きなことは。優のことずっと見てたんだから嫌でも分かるし。うちはただ……何も言わないで諦めるのは性に合わないの!てゆーかうちを振ったんなら早く由紀に告れ!うちを見習えっつーの!」
奈央が大声で一気に言うと
優は悲しそうな顔をしたあと
いつもの作り笑顔ではなく
本当の笑顔で奈央に微笑んだ
「ありがとう奈央。」
「なっ///早く行きなさいよ!」
「クスクス。分かりましたよ。」
パタン
優が屋上から出て行くと
奈央はその場に座り込んだ
それと同時に水晶の結界は割れて
欠片がバラバラと落ちてきた
目の前に落ちた水晶を拾って
奈央は小さく笑った
「結界を維持出来ないなんてまだまだじゃん。バラバラになっちゃって……うちの心みたい。」
「バラバラになったなら元に戻せばいい。奈央ならできるんじゃないの?」
「蓮……。」
雨が止んだと思い顔を上げると
傘を持った蓮と目が合う
蓮は足元に転がっていた
水晶の欠片を拾うと
奈央の持つ欠片とくっつけた
その瞬間欠片が光りだして
2つの欠片は1つの水晶玉になって
奈央の手のひらで転がった
「ほら、今のは奈央の力。」
「……新しい恋…できるかな?」
「できるんじゃない?僕も新しい恋探さなきゃね。」
「お互いいい人探しますか。」
2人は笑い合うと屋上を後にした
雨が止んだ空には
大きな虹がかかっていた
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