空の少女と海の少年


「うそおおおっ!何で追いかけくるんだよー!」

「陸が逃げるからよ!馬鹿ね!」

「奈々も逃げてるじゃんか!」

「当たり前でしょう!本当に馬鹿ね!」


口喧嘩をして走っている間にも
どんどんライオンは迫ってくる

2人は今秒速500mで
走っているのにもかかわらずに


「ありえねーよ!」

「りくーななー!」

「いやああああ!ライオンが喋ったわー!」

「とうとうこのファンタジーも動物が話す域に達したのかあー!?」


喋るライオンに混乱して
2人はさらにスピードを上げた

しかしライオンが
2人を飛び越えて前に立つと
急いでスピードを落とした


「奈々っ!陸っ!」


いやああああ……
ライオンが喋ったあ……
名前を知られているう……


ガクガク震える奈々と陸を
ジッと見つめるライオンの頭の上から
ひょっこりと春が現れた


「奈々!陸!この子は優しいから大丈夫だよ〜。」

「春!?」
「楠木!?」


ライオンに跨る春を見て
2人は一気に緊張が解けると
その場に倒れ込んだ


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