空の少女と海の少年
「──いてて……。」
地面の裂け目に落ちた春は
とっさに風を身に纏って
落下の衝撃を和らげたが
着地に失敗して腰を打ったらしい
おばあさんみたいに
腰を叩いて立ち上がると
春は自分が落ちてきた
裂け目を見上げたが
「ちっちゃ〜。飛べるかなあ……?」
深呼吸して集中すると
ふわりとその場に浮かんで
ゆっくりと上昇していく
「……遅い。」
あまりのスピードの遅さに
空を飛ぶ練習をしなくてはと
決心すると同時に
春は左右の壁を交互に蹴り
上に上がることにした
さっきよりは格段に
スピードが上がったが
体力を大量に消費する
「うん!これならすぐ行ける!」
しかし体力馬鹿の春にとっては
こんなことは準備運動らしい
「みんなに追いつかなきゃ!」
春は4人に追いつくため
更にスピードを上げ地上を目指した
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