空の少女と海の少年
「──くしゅっ!……ふえ〜…誰か春のこと噂してる〜。」
壁を蹴り上がりながら
春は鼻をすすった
「それにしても……こんなに遠かったけ?」
もう十分上がったはずなのに
に見える光の大きさは変わらない
……もしかして進んでない?
春はいったん浮いて
神経を研ぎ澄ませると
溜め息をついた
この地下が巨大な球体の
結界に囲まれていたからだ
結界の中ならば
結界を張った人を
ぶっ飛ばすまでだよ
春は風を纏うと
再び地下に降り立った
ヒュン
風を切る音と共に
春は光の結界を張った
キンッ
金属が弾かれた音に
思わず目を瞑り
恐る恐る目を開いた
結界の光に照らされ
自分に大剣を向ける
人物を見て春は唖然とした
「なんでソウがいるの?」
『春はラッキーだな。これは裏技ってやつだ。そしてここはラストステージ。』
自分の背丈よりも大きい剣を
背中の鞘にしまうと
ソウはニヤリと笑った
『ショートカットのお前は¨特別ステージ¨だ。俺と戦って勝ったら第二試練は合格だぜ。このまま俺と戦うか、地上に戻ってやり直すか。さあ選べ。』
「……もちろん戦うよ。春は逃げないって決めたから。」
春が強い意志の籠もった
空色の瞳で見つめると
ソウは満足そうに笑った
『さすが姫。そうこなきゃな。』
_