空の少女と海の少年


『──海底にある大きな貝がゴールですわ。』

「わかった。」

「……待て待て。俺達は海斗と違って水の中で呼吸できないんだけど。」

『じゃあ頑張って下さいね。』


陸の訴えをシカトして
穏やかな笑みを浮かべたセラは
優雅に右手を上げた

すると海斗達はいままで
立っていたはずの海に落ちた


『氷結!』
『無重力!』
『風の衣!』

「ちょっ!俺は!?」


しかし実際に落ちたのは陸だけ

海斗は氷を張ってそこに立ち
奈々は無重力状態になって浮き
蓮は風を体に纏わせて浮いていた


「ずるくね!?俺炎神だぜ?水に浸ける?」

『では、スタートですわ。』

「シカト!?」


スタートの合図と共に
海斗は海に飛び込んだ


『酸素球』


奈々は頭を酸素の塊で
包むこみ海に潜った

海上に残ったのは陸と蓮


「やっぱ蓮も海の中をずっと進むとか無理だ……何それ?」


蓮は薄い闇の膜で出来た
正方形の箱の中に入っていた


「これなら楽だし。じゃあお先に〜。」

「ちょっ!俺も中に入れろって!」

「早く来なね〜。」


箱に入った蓮は笑顔で手を振りながら
海の中に沈んでいった


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