空の少女と海の少年


『弱すぎる。』

「……っう!」


ソウが軽く大剣を振るだけで
勢い良く春は吹き飛んだ

そのまま岩の壁にぶつかり
轟音と共に岩は崩れ落ちて
舞い上がる砂と岩で
春の姿は見えなくなった


『春っ!』


今まで黙って見ていた
サラは慌てて春の元へと
駆け寄ろうとするが
細く白い腕に止められた


『今サラが手を貸したら春は失格。落ち着いて。』

『そうですわ。これは春様の試練。ソウに勝てないのならば……リールは倒せません。』

『………でも。』

『落ち着いて。』


サラの金色の瞳と
ミウの漆黒の瞳がぶつかり合い
サラは悔しそうに拳を握り締めると
今まで見ていた場所に戻った


『春……。』

『春様なら大丈夫ですよ。』


見守ることを決めたサラの肩に
そっと手が優しく置かれた

セラは新しく来た
神達を見て微笑んだ


『キラにユラ。じゃあもう4人はウタのところにいるのね。』

『春がソウと戦ってること言ったら、凄いスピードで終わらせたぜっ!』

『私のところもです。あまりの迫力にペンギンも怯えていました。』


キラとユラが話すと
岩が崩れて中から春が現れた

左肩を押さえて
立っているのが
やっとの状態だったが

しかしその空色の瞳は
しっかりとソウを捉えていた


『良く耐えたな。まだやるのか?』

「春は……負けない。みんなが頑張ってるなら、春も頑張れるから……。」


そう言って笑顔を見せた春に
ソウは大剣を向けた


『ならば早く続きをするぞ。』


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