空の少女と海の少年


海斗は壁に近づいて
向こう側にいる春に
優しい声で話しかけた


「春、すぐ終わらせて戻ってくるから……頑張れよ。負けるな。」

「海斗も……頑張ってね。」

「ああ、待ってろ。すぐ戻る。」


そう言って海斗は
自分が進む道を見た

暗く狭い洞窟
仕掛けられたトラップ
この先にあるゴール


すぐに終わらせてやる


海斗の決意が伝わったのか
奈々と陸と蓮も
土の壁ではなく
自分達が進む道を見た


「行くぜ。」

「ええ。」

「さっさと終わらせるぜ!」

「春ちゃんを待たせちゃいけないからね。」


光の球で道を照らして
歩き出した4人の姿を見て
ソウは優しく微笑んだ

そして土の壁に触れて崩すと
目の前に現れたのは
天井に空いた穴から差し込む
太陽に照らされた空の姫

仲間との会話で
新たに決意を固めた
その空色の瞳は
輝きを増していた


『いい瞳だ。そろそろ本気で行くぞ。』

「もちろんだよ。春はもう……」


春がネックレスにしてある
空色のジュエルに触れると
虹色に輝いて
その姿を変えていく

観戦していた神々は
驚いて目を見開き
サラは悲しそうに目を伏せた


『とうとうこの時が来たのか。』


虹色の光が止んで
春の両手に握られていたのは
澄んだ水色の刃が輝く双剣


「もう負けない。」


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