空の少女と海の少年
『あの剣を見るのは何万年ぶりだろうね。』
『……ああ。』
ミウに対して
曖昧な返事を返したサラは
複雑な気持ちだった
春が手にしているのは
¨宝剣・天空¨
空の心が宿ったとされるこの剣は
認めた者の前にしか姿を現さない
伝説と神々の記憶の中でのみ
伝えられてきた幻の宝剣
それが数万年ぶりに
姿を現したのだから
神々は驚いていた
『春様は剣に認められたのですわ。』
『天空にまで愛されるとは。さすがは春様です。』
にこやかに微笑む
セラとユラを一瞥して
サラはまた青空に視線を戻した
なぜ春の前に現れた?
あの剣の力は確かに強大だ
しかし……
使いこなせなければ
剣に体を乗っ取られる
真に春を王として認めたのか
それとも餌として選んだのか
もしも後者ならば
『私が叩き折ってやる。』
『まあまあ。落ち着きなよサラ。』
やんわりと言うウタを
サラは睨みつけて
春とソウの戦いを見た
ソウは天空を見て
楽しそうな笑みを浮かべた
『そいつを使いこなせるのか?』
「……当たり前。俺様の春を傷つけたんだ。お前粉々にしてやるよ。」
春は剣をソウに向けて
得意気に微笑んだ
しばらくの沈黙……
神々は目が点になり
サラは怒りで拳を握り締めた
『あの剣……ぶっ壊す。』
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