空の少女と海の少年
──薄暗い洞窟の中を
海斗達は走っていた
落とし穴があったり
壁から槍が出てきたり
坂道で岩が転がってきたり
ありきたりな仕掛けを
全て粉々に破壊しながら
「水晶はまだかよ!」
「煩いわ陸、黙って走って。」
「だってこうしてる間にも楠木は戦ってるんだぜ!気にならないのかよ!」
陸が思わず叫ぶと
奈々は無表情で振り返り
また前を向いて呟いた
「だからこそ、春の言葉を信じるのよ。」
¨春のこと信じて?¨
さっきから春の声が
頭の中をぐるぐる回ってる
当たり前じゃない
私は春を信じてるわ
絶対にこの5人で
第二試練を合格するのよ
「春は負けないわ。絶対に。」
奈々の言葉に3人が頷いて
スピードを上げたのと
洞窟の奥で輝く水晶を
見つけたのは同時だった
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