空の少女と海の少年


「──そろそろ時間ですか。」

「うん、ご馳走様。」


カフェ¨free style¨
カウンター席に座っていた由紀に
マスターは御守りを渡した

由紀は目をぱちくりして
青い御守りを受け取った
その御守りには
¨安全祈願¨
と刺繍されていた

由紀は思わず笑った


「マスター、これ何か違う気がする。」

「他にしっくりくるのが無かったので。皆さんの分もありますから。」


どこから出しだのか
4つの御守りを
由紀に渡して微笑んだ


「頑張って下さいね。」

「……ありがとう。」


普段笑わない由紀は
ぎこちない笑みを浮かべて
席を立ち、扉に手をかけた


「由紀さん。」

「……ん?」

「美味しいコーヒー取り寄せておきますから。」


マスターの優しい声に
何かが込み上げてくるのを
感じた由紀は右手を振って
そのまま店を後にした


終わったらみんなで来よう


そう思いながら


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