空の少女と海の少年


──準備が終わって部屋を出た優は
隣の部屋から草が生えているのを見て
急いで扉を開けた


「玲、蘭!どうしたんですか!」

「優!?玲が大変なんだよ!」


部屋の中は草花で覆われ
それらを掻き分けながら
たどり着いたリビングでは
ぐったりした玲を
蘭が必死に抱き締めていた

優は玲に駆け寄ると
ポケットから薬を出して
急いでそれを飲ませた

ピルケースのラベルには
¨安定剤¨とかかれていた

しばらくして玲は落ち着き
咲き乱れていた草花は枯れた


「……蘭…優…。」

「玲っ……玲!」

「もう大丈夫ですよ。蘭、何があったんですか?」


玲と蘭を抱き締めて
優しく背中を叩いてあげると
蘭も落ち着きを取り戻した


「あの女から……お母様から電話がきて……。」

「そうですか……もういいです。大体は分かりました。」


玲と蘭の家庭の事情は
優もよく知っていた

優は玲を抱き上げると
蘭の手を取って部屋を後にした


帰ってきたら
懲らしめてやりましょうか


そう思いながら


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