空の少女と海の少年
『──華霧・毒。』
『加護の水色っ!』
カノンの足元に無数の花が咲き
毒々しい紫の霧を放ち
蘭は自分と玲をその毒から守る為
水色の絵の具で膜を張った
カノンが霧を避ける為に上空へ飛ぶと
まるで知っていたかのように
カノンに光の矢が降り注いだ
玲はニヤリと笑って空を見た
『時雨。だけど……まだでしょう?』
『最堅の灰色。』
空から爪が伸びてきて
玲を突き刺そうとしたが
灰色に塗られた蕾に
包まれて爪は折れてしまった
カノンは爪を戻して
愉快そうに笑いながら
地上に降り立った
『やるではないか。久しぶりに楽しめそうだぞ。』
「そう?でももう」
「楽しむ前にさよならだね。」
玲と蘭の言葉に
顔を歪めたカノンは
体が動かないことに気付いた
やっとのことで頭を動かし
地面を見ると黄色に染まっていた
『麻痺の黄色。』
『終焉の光。』
神々しく光輝く矢を見て
さすがにカノンは焦った
あんな光が体を貫いたら
いくら我でも……
『ガハッ!』
考える余裕も無く
玲の光の矢は
カノンの腹部を貫いた
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