空の少女と海の少年
なんで?
なんで動かないの?
なんで僕を庇ったの?
起きてよ
起きて言ってよ
嘘だよって言ってよ
そう言って笑ってよ……
「蘭っ!蘭っ!」
いくら呼んでも
蘭は答えることなく
目を瞑ったまま微笑む
いやだ……
いやだよ……
蘭を抱きしめる玲の様子がおかしいと
気付いたサリーと男達は
マリアを抱いて上に跳んだ
『嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!』
玲の叫び声と共に
地面から大量の蔓が現れ
魔物達を取り込んだ
血塗れた地面が
一瞬にして緑で覆われた
全ての魔物を取り込んだ蔓は
更なる獲物を求めて
四方八方へと広がっていく
サリーは舌打ちをして玲を見た
蘭を抱き締めて
泣き叫ぶ玲の後ろに
大きな木が生え
蔓の栄養を受けて
徐々に大きく成長している
「とんでもないガキね。暴走の規模が並外れてるわ。」
「他の奴らにも知らせないと喰われるな。」
「急ぐぞ!」
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