空の少女と海の少年
「──ん?なんだ?」
「さあ?」
今まで絶え間なく
襲い掛かってきた魔物達が
ざわついているのを見て
奈央と直樹は顔を見合わせた
魔物達は更にざわつき
2人の事など目にないようだ
「なんか……超焦ってない?」
「超焦ってるな。」
呑気にそんな話をしていると
直樹は何かを感じて
奈央を抱いて空に逃げた
突然抱き上げられて
奈央は真っ赤になって暴れた
「ちょっ!離せってば!離せー!」
「……奈央。下見ろ。」
「は!?……え?あれって……。」
地面を這って魔物を
次々と飲む込む蔓を見て
奈央は目を疑った
あの蔓は玲の物だけど
無差別に生物を襲っている
だけど玲はそんな
馬鹿な真似はしない
だとしたら答えはひとつ
「暴走……?」
「向こうで何があったんだ?」
直樹が空に浮いたまま
遠くを見ると
さっきまであった
魔界の入口がなくなっていた
封印は成功したならば
暴走が起こる筈はない
直樹が考えていると
腕の中にいる奈央が息を呑んだ
「まさか……蘭?」
「蘭って双子の片割れだろ?その子に何かあったなら……。」
そこまで言うと
2人はハッとして
そのまま魔界の入口が
あった場所に向かって飛んだ
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