空の少女と海の少年
◇涙、その先に
「──ん……。」
窓からの日差しに
春は目を覚ました
隣のベッドでは
奈々がまだ眠っていた
随分長い間眠ってたみたい
確かソウに勝って
試練に合格して
その後は……覚えてないや
「……ってそんなことよりみんなは!?」
奈央の手紙を思い出して
春はパジャマのまま
部屋を飛び出した
「優っ!春だよっ!」
部屋のドアを叩くが返事はない
奈央も由紀も玲と蘭も
全員部屋にはいない
携帯を開いて日付を確認すると
第二試練の日から3日も経っていた
太陽が出てたから
戦いは終わったんだよね?
「みんな……どこ?」
不安で泣きそうになる
気持ちを抑えて
カフェ¨free style¨に
向かって春は走った
バンッ
「おや春さん、お帰りなさい。」
「マスター……みんなは?」
カップを磨くマスターに聞くと
マスターは磨くのを止めて
春の目を見て静かに言った
「皆さんは今、第一病棟にいます。」
¨第一病棟¨
そこは重体以上の患者が
入院する病棟だと前に聞いた
春は顔色を変えて
すぐに店を出て行き
第一病棟に向かった
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