空の少女と海の少年


『太陽の涙に触れると、寝てる者は完全に目が覚めるの。それは日常生活でも、意識不明でも。』

「え……じゃあ!」


春はすぐに透明なカーテンを捲り
中に入るが、看護士に止められた


「入らないで下さい。」

「これ使えば起きるんだよ!?」

「そんなので起きたら医者はいりません。」

「もう起きるからいらないの!」

「起きないからいるんです。」


ややこしい言い争いに
キレたサラは右手を前に突き出した


ドンッ


右手から波動が出て
看護士や医師達は気を失った
由紀はサラを見て微笑んだ


「凄いね。そんな事もできるんだ。」

『¨神¨だからな。』


サラは得意気に微笑んでから
太陽の涙を玲の手に置いた春を見た


パァン


暖かい光が玲を包み込み
やがて光が消えると
玲はゆっくりと目を開いた

奈央達はすぐに駆け寄った


「玲!大丈夫!?」

「……奈央ちゃん。由紀に優も……僕は…蘭?蘭はっ!?」


暴れる玲を押さえて
優は隣のベッドを指差した

そこにはちょうど
太陽の涙の力で目を覚ました
蘭が目をぱちくりとしていた

玲はベッドを飛び降りて
コードが取れるのも構わず
蘭を抱き締めた


「蘭っ!」

「……玲…あれ?私……。」

「よかった……よかったあっ!」


しばらく呆然としていた蘭は
玲を抱き締め返して笑った


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