空の少女と海の少年


さすがは世界の西園寺グループのホテル

豪華な内装に春達は思わず
感嘆の溜め息をついた

受付のカウンターの前では
豪華な雰囲気に合わない
派手な格好の奈央が
元気に手を振っていた


「おっそーいっ!もうチェックインしといたからー!」

「奈央は何もしてないでしょう。」


由紀が冷静に言うと
奈央は聞こえないふりをして
エレベーターを指差し
興奮気味に話し出した


「VIP専用エレベーターで、ロイヤルスイートルームに行くんだってっ!超ヤバくない!?」

「ロイヤルスイーツルーム!?凄いっ!早く行きたーいっ!」

「楠木ー……スイーツじゃねえ。スイートだし。」

「りっくん。春ちゃんの可愛らしい間違いは訂正するんじゃない。褒めるんだよ。」

「はいいっ!?何だよそれえっ!!」


¨春ちゃんの間違いは世界を潤す¨

常識だから。
と蓮が訳の分からない
格言に陸は鼻で笑った


「そんな楠木の間違いで世界が潤ってたまる「あら、砂漠に雨が降ったみたいよ。」はいいっ!?」


奈々が携帯に流れた
緊急ニュースを読むと
陸は目が点になった


せ……世界が潤った


「ほら、潤ったじゃん。」

「楠木……お前凄いぜ。」

「ん?なんのこと?」


首を傾げる春を
褒めまくる陸の横で
蓮は両手を握り締めて微笑んだ


天候の操作は完璧
この調子だな


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