空の少女と海の少年
「まあまあっ。もっかいやろっ?」
ねっ?と笑顔でボールを渡す春は
パステルピンクのビキニを着ている
その可愛さに奈央は思わず
春を抱き締めた
「ふぇっ!?」
「春!あんたがちで可愛すぎる!」
「「奈央ちゃんズルい〜っ!」」
玲と蘭がふてくされていると
2人の派手な男が近付いてきて
いきなり春の腕を掴んだ
「可愛いね〜。俺達と一緒に泳がない?」
「そっちの子も一緒にどう?」
「キモい。きたねー手で春に触んな。」
奈央が睨み付けるが
男達はヘラヘラと笑ったまま
春を掴む手を離そうとはしない
大丈夫大丈夫大丈夫……
見知らぬ人に触られると
どうしても中学生の時の
辛い記憶が蘇ってしまう春は
唇を噛み締めて心の中で唱え続けた
奈々は血相を変えて
春の所に走りだそうとしたが
由紀がその手を掴んで止めた
「相手は一般人。能力が使えないならいかない方がいい。」
「……春をあのままにしろって事かしら。ふざけないで。」
「違う。奈々が行かなくても大丈夫って事。」
由紀の言葉通りに
春を掴んでいた手は
横から出た別の手に掴まれた
手が離れた事に安心していると
後ろから抱き締められ
ビクリと体を震わせたが
その腕は大好きな人だと分かり
春は腕をぎゅっと掴んだ
「海斗……。」
「春に触んじゃねえよ。」
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