空の少女と海の少年


「楠木をナンパするなんていい度胸じゃん。」

「僕達の春ちゃんに触らないでよね。」


男達はいきなり現れた
イケメン集団にたじろいで
蓮と陸の腕を振り払い
舌打ちをして砂浜から出て行った

海斗は春の体が
震えているのに気付いて
ぽんぽんと、頭を撫でた


「春、大丈夫か?助けるの遅れてごめんな。」

「大丈夫……大丈夫だから」


春は海斗の方に向き直り
そのまま抱き付いた


「少し、このままにさせて……。」


突然の行動に海斗は
目をぱちくりさせるが
優しく微笑むと
背中を叩いてあげた

ゆったりとした
穏やかな2人だけの空間

しかし、すぐ近くには
どす黒い空気が渦巻いている

奈々は黒い笑顔を浮かべ
蓮は舌打ちを連発している

その光景に笑いをこらえる
奈央の肩にそっと手が置かれた


「奈央も大丈夫でしたか?」

「優!うちは超よゆー!サンキュー!」


奈央が笑顔でピースすると
優は穏やかな笑みを浮かべた


その後、暗くなるまで
騒ぎ続けて疲れたS組は
ロイヤルスイートルームの
ふかふかの布団に潜り
ぐっすりと眠りについた


¨海の神殿¨の存在を
疑問に思いながら


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